何か書こう

考えるための日記

高齢者の方々が反対した理由を考える

トピック「大阪都構想」について

私のまわりにいる人はみんな賛成だったのにかかわらず、大阪では否決されてしまった。しかも、南北の地域と、高齢者とそれ以外で大きく賛否がわかれた。

南北はいわゆる南北問題のように、とても経済格差の大きい地域で、東京の経済格差とは比較にならないほど、すごい。だから改革とかいわれてもよくわからないものに乗っかることなどできないという人たちの主張もわからないではない。

 

高齢者のこの反対の多さは本当にすごいと思うが、どうして高齢者がこんなに反対するのか、私はこの問題はそう簡単には解決できないんじゃないかと思っている。

いまの70代かそれより上の方々は戦前戦中に生まれた方々だ。物のない時代、みんなが貧しかった時代に本当にみんな苦労されている。そして、戦後、日本は奇跡の復興をとげたが、その復興を支えたのは今の高齢者の方々だ。みんな土曜日も働いていたし、今でいうブラックなんか当たり前の働き方だった。でも大人たちは本当によく働いていた。私が子供だったころ、昭和40年代50年代には、まだ終戦後20年から30年しかたっていないにかかわらず、日本はものすごい復興を遂げた。私は神戸で育ったが、焼け跡などあとかたもみたことがないし、そのころにはみんなちゃんと学校に行くことができていたし、ちゃんとごはんも食べさせてもらっていた。それなりに、親世代が子供時代にしたくてもできなかったことをやらせてもらった。

今の繁栄は間違いなく、今の高齢者の方々のなみなみならぬ血と汗と涙の結晶がもたらしたものだと思う。

 

しかも、今の高齢者の世代は親の面倒をみることは当たり前と考える世代のため、自分たちの親も自分たちで引き取り、看取った。そのなかで、嫁姑問題があったり、嫁が苦労したりとそういう負の面ももちろん大きかったとは思うが、そういうことも当然のように引き受けた世代だった。

しかし、時代が大きくかわり、自分たちが、見てもらう高齢者になったとき、子供世代は同居や近くに住むことを嫌がったり、介護を嫌がったりする人も増えた。私のまわりでも、親の面倒はみたくないから、遠くに住んで助かったという人もいるし、お金をくれなければ行かないという人もいる。できれば、介護にかかわりたくないと本音をもらす人も多い。当然として高齢者の単身世帯も増えた。もちろん、親を大切にしている人もたくさんいるが、今の高齢者からみたら、自分たちがその親に対してしてきたことに対して、全く子供たちからしてもらっていないという人が多いのではないか。結局子供たちには期待できない、そして、資産家でない限り、老後の資金にも余裕がない。そんななかで、少しの補助や行政サービスであっても、それがとても大きい存在となり、それさえもとられるということに抵抗を持っても全く不思議なことではない。

 

もし、子供がもっとかかわっていたら、たとえ実の子供でなくても、若い世代がもっとお年寄りのことを気にかけていたら、大切にしようとか感謝の気持ちを持っていたら、高齢者の環境ももっとよくなっていたはずなのではないか。

 

今回の高齢者の改革へのノーは若い世代が高齢者に対してみせる冷たさへのノーなのではないかとも思った。